【平成20年度国際ボランティア貯金寄附金援助事業】
この事業は、家族への依存度が高い知的障がい者を対象に、彼らの社会性を刺激し、自立を促すとともに、基本的な運動能力の維持そして増進を図り、安定した生活が送れるようにすることを目指しています。事業目的、活動内容詳細はこちらをご覧下さい。
2009年8月に本事業が開始されてから、約6ヶ月が経過しました。そこで、受益者の家庭を訪問し、訓練で得た知識や技術が各家庭でどのように活かされているかを視察してきました。
最初に訪れたのは、チャミカくん(9歳)。
私たちがチャミカくんの家へ到着すると、早速チャミカくんが家庭菜園を案内してくれました。
家の裏にある菜園は、成長した野菜たちであふれており、チャミカくんはトウガラシや緑の野菜たちを次々と紹介してくれました。そんな様子を見て、チャミカくんは「活発で、おしゃべり好きな男の子」という印象を受けました。
しかし訓練中、チャミカくんは物静かで常にお母さんの後ろに隠れ、名前を呼ばれても反応がなく、会話も思うように進まなかったといいます。
訓練の後、お母さんと一緒に野菜の世話をするなかで、チャミカくんには「自分が野菜を育てている」という感覚が根付いたようです。そして、野菜の成長を見守ることで、チャミカくん自身が成長できたのかもしれません。
訓練中に物静かであったのが信じられないくらい、チャミカくんはよく動き、よく話し、そしてよく笑ってくれました。名前を呼ばれると、振り返って返事をし、会話もスムーズにできました。訓練を担当したプロジェクト・アシスタントによると、「目の前にいる人の目を見て話すことができるようになったのが大きな変化の一つだ」ということでした。
お母さんは、「訓練の後、家庭菜園を始めたところ、彼の情緒が安定し、とても活発になった」と言ってくれました。そう言いながら、幸せそうな笑顔をうかべたお母さんの表情がとても印象的でした。
このように、訓練内容が家庭で実践され、チャミカくんにポジティブな変化が現れたことは、私たちにとっても嬉しいことでした。今後もたくさんの野菜たちと一緒に、チャミカくんが身も心も大きくなっていけるといいと思います。
担当:岡部史織