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アムルトジャパンのブログへようこそ! 皆様にアムルトの活動の様子をお伝えするブログです。

2010年6月24日木曜日

【活動報告 ニジェール】現在のニジェール治安状況について

現在のニジェール治安状況について
ニジェールでは、マリ国境やアルジェリア国境から侵入するアルカイダ勢力、そしてアガデス県を中心とした政府と反政府軍の和解後のこじれにつけこんだアルカイダ勢力の拡大、2008年のブザ近くのタヌート市における政府軍と反政府軍の大衝突の影響など、治安の悪化が改善されず、ニジェール北部のへの外国人の移動は禁止された状態です。

アムルトジャパンのJICA草の根事業実施地域であるブザ地域でも邦人のブザ滞在は上記背景からできないことになりました。従って、アムルトジャパンは活動地域に宿泊することができないため、ブザの南、車で1時間半ほどにあるマダウア市のホテルをベースにし、毎回ブザまで武装警官の護衛のもとで通いながら活動を継続していく予定です。

また、現在国際協力システムの助成事業を実施しているティラベリ州ウラム県においては、2010年3月8日に、アルカイダと見られるイスラム系集団による襲撃があり、ニジェール人兵士複数名が死亡する事件が発生し、現在邦人の立ち入りは禁止されているという状況です。

治安の悪化により、日本人スタッフが事業実施地域で自由に活動を行えないことは非常に残念ですが、活動実施計画の見直しを行いながら私たちにできる限りの支援活動を継続していきたいと思います。一日でも早い治安の改善を望みながら、ニジェール現地スタッフとの協力のもと、頑張りたいと思います。

アムルトジャパン
ニジェールスタッフ一同

2010年6月23日水曜日

【活動報告 ニジェール】乳幼児健康改善のための保健衛生教育および生活改善モデル事業

JICA 草の根技術協力事業
2009年7月から開始した本事業の2010年4月、5月の活動状況です。

1.プロジェクト活動内容

1 4/1-2
「女性の性と出産に関わる健康」のレヴューセッション
妊娠について、リスクの低い妊娠とは、妊娠中のトラブル対処、、出産について、妊産婦の死亡を避けるには、家族計画、避妊、性感染症とは、等のレビューセッション

2 4/5/-15
「子供の病気」のHTGへの研修
子供に罹りやすい「マラリア」「風邪」「下痢」「発熱」の症状、その原因、対処法、ワクチン接種の奨励、家庭内で出来る応急看護法、等の研修を実施
下痢や発熱時の子供に飲ませる生理食塩水の作り方

3 4/19-29
「子供の病気」母親全体への研修

4 5/3-27
「子供の病気」レヴューセッション
上記の研修内容についての復習会

5 4/26-5/27
所得創出活動への情報共有・啓発
アムルト主催の所得創出活動サポート基金について啓発

6月以降は衛生・栄養研修に加えて、所得創出活動に向けての研修も開始する。
所得創出活動に対し、アムルトニジェールがサポート基金を提案。マイクロビジネスを始める受益者に対し各サイトで合計15万Fcfaを上限に6ヶ月返済でのクレジットを計画。受益者に紹介。

所得創出活動に対し、アムルトニジェールがサポート基金を提案。マイクロビジネスを始める受益者に対し各サイトで合計15万Fcfaを上限に6ヶ月返済でのクレジットを計画。受益者に紹介。

6 4/1-5/30
家庭訪問
HTGsが受益者たちの家庭を訪問し、研修で得た知識を実践しているか確認。村で一番素晴らしく実践している母親を表彰。

*HTG---Health Training Group;母親代表2名、産婆1名、地域保健所の看護師長あるいは看護助手1名の計4名からなるリーダーグループ



2、現地モニタリングの報告

4月25日-30日の6日間、武装憲兵の警護つきで約半年ぶりに現地モニタリングに入りました。日々の電話やメールでのレポート、および月末の現地レポートで報告されていたように、昨年9月、10月のモニタリング時に比べ、受益者の皆さんが格段に活気があり、研修を楽しんでいる様子が伺えました。受益者たちの、研修に対する取り組み姿勢、服装が清潔になっていること、子供たちの服装、髪型、身だしなみが以前に比べ清潔になっていることが観察できました。また、いくつかのサイトではHTGメンバーの一人である保健所のスタッフが非常に協力的で、病気や予防接種などについて専門家の立場から細やかな補足説明をして下さっていました。「分からないことがあればいつでも保健所へどうぞ」と、研修のあとのサポートまで申し出て下さっており、心強い印象を受けました。

 HTGsの研修リーダーとしての能力については、プロジェクト開始時と比較すると格段に成長が見られますが、個人差も大きく、一人で十分に研修をリードしていける方と、まだまだAMURTスタッフの補足が必要な方も見受けられました。彼女たちの自立を促すため、これまではAMURTスタッフが傍にいて、その都度、不十分な内容の補足に入っていたようなので、それを改め、今後は彼女たちのみが前に立ち研修を実施し、彼女たちの企画が終了してからAMURTスタッフが補足に入るよう指示しました。

 ほとんどのサイトでは、これまで既存の藁ぶきと土壁でできた東屋(AMURT Intl.のプロジェクトの一環で建設済)を利用してきましたが、3サイトではまだ東屋がなく、大きな木の下で集まって研修を開催してきました。現場のレポートではさほど問題ないと聞いていましたが、実際見てみるとやはり気温の高くなる中での木陰での研修は集中力を削ぎ、これは問題であると感じました。この3サイトについては予算を組んで東屋の建設を計画したいと考えています。雨季が終わる9月時下旬を目処に現在建設を検討中です。

 4月下旬からは所得創出活動に向けての啓発も開始しました。初回のアンケート調査では家畜肥育をしたい女性が圧倒的に多かったのですが、理想と現実は若干違うようで、実際に何を始めるか企画を聞くと、まず家の軒先で簡単に始められる「揚げ菓子の販売」「穀物を簡単に調理して販売」などへ取り組みたいという希望が格段に増えています。なぜなら家畜肥育は羊やヤギの購入資金やその餌代など、初期投資が大きいからです。こちらからはフレキシブルに彼女たちのニーズに合わせて研修メニューを準備し、彼女たちの選択をサポートする形をとりたいと考えています。



3.今後の展望

 このように事業は順調に進捗してきております。来る6月13日にはワークショップを開催し、各サイトからの代表たちをブザ事務所に招き、この1年間の活動の振り返りと、次の1年のグループ活動の計画を検討するとともに、他のサイトではどのような活動をしてきたか、これからどのような活動をするのかを互いに知らしめあう機会を持ちたいと計画しています。このときに各サイトの所得創出活動の研修計画も確定し、今後はサイト毎のニーズに合わせて計画を組んでいく予定です。

【活動報告 ニジェール】母親たちによる農業組合の組織強化支援事業


【財団法人日本国際協力システムNGO支援事業】

 ニジェール共和国はその厳しい気候や環境条件、資源不足などを背景に世界最貧国のひとつに数えられ、2007年の国連開発計画の人間開発指数では世界177国中の第174位に位置づけられている。またニジェールでは女性は一人平均7人の子供を出産するが、国連開発計画は、ニジェール国内の40%の子供が発育不良、そして5人に1人の割合で5歳未満の子供が死亡している報告している。

ニジェールの最西に位置するティラベリ州ウラム県の気候は、国内でも特に高温乾燥地域で雨量が少なく、そのため他地域に比べ作物収量が乏しい。主食の穀物(ミレット、ソルガム)を収穫後ほんの2~3か月分程度しか自給できておらず、慢性的に食糧が不足している。このような状況において、第一の犠牲者は子供たちである。多くの男性は収入を求めてマリ、ブルキナファソやナイジェリアといった隣国へ出稼ぎに行き、6月から10月の農業シーズンのみ家族のもとに戻ってくる。そのため多くの女性と子供たちは収入がないまま、長期間取り残されているのが現状である。2005年にニジェールを襲った大飢饉からの回復も途上段階で、現在でもウラムの女性たちへの援助の必要性は大きい。

 アムルトジャパンでは2009年8月からウラム県の母親たちに乳幼児栄養改善と自立支援のための乾季野菜栽培支援を始めている。当事業は2010年3月の収穫期をもって終了した。しかしながら彼女らは、その後さらなるグループの組織力強化やマーケティングスキルの向上のための支援を必要としている。本事業では組織運営、マイクロビジネス、子供たちの栄養改善研修を実施することで彼女たちの組織力をさらに強化する。そして、彼女らにグループの運営方法を教え、余剰の収穫物を販売交渉し、利益を獲得し、そしてその利益を次年度の栽培に向けてマネージメントする方法を指導する。加えて、子供たちの栄養改善についての指導も行う。この事業によって母親たちに野菜栽培および販売による収入向上と、そして、最終的に家庭における食料事情の改善へとつなげることを目的とする。


<事業概要>
事業名:ニジェールの母親たちによる農業組合の組織強化支援事業
事業期間:2010年3月〜8月 
対象地域:ニジェール共和国、ティラベリ州、ワラム県のワラム地区とトンディキウィンディ地区
対象者:家族の長である母親80人
現地カウンターパート:アムルトインターナショナルニジェール

活動内容
1. グループ組織化:
1) 80名の受益者を5つの小グループに分け(各グループ15または16名づつ)、母親組合を結成する。
2) 各組合よりリーダー、サブリーダー、会計を選出し、それぞれの役割分担を行う。
3)各組合にて組合のルールと規則を決定。
2.ベースライン調査:現状の各受益者の家庭の状況(食糧自給状況、食事の頻度、貧困度等)と、各組合の結成時の組織力のレベルの調査を行う。
3. トレーニングのカリキュラムの設定と方法の確定
4.マイクロビジネス、グループマネジメント、栄養、農作物の貯蔵方法、農作物販売のデモンストレーション、等のトレーニング(月に2回)
5.グループリーダーとサブリーダーをニアメに集めワークショップを行う:市場調査、すでにニアメで野菜のトレーディングをしている女性たちとのミーティングや、ビジネスパートナの発掘等
6. トレーニングの復習